スキンケアの基本

皮膚は人体最大の臓器であり、外界から身体を守るバリア機能を担っています

日常のスキンケアはそのバリアを維持・強化するための医学的にも重要な行為です

スキンケアとは、清潔、保湿、日焼け防止の3点です

 

1. 清潔 — 皮膚表面の有害物質を除去する

 

  • 洗顔の目的
    • ・皮脂、汚れ、微生物、紫外線吸収剤などを除去すること
    • ・角層のpHバランス(弱酸性域:pH 4.5〜5.5)を保つこと
      • -ただし、過度な洗浄は皮膚バリアを破壊します
        • Fluhr JW, et al.Acta Dermato-Venereologica, 2012

 

  • 推奨する洗い方

    • ・水またはぬるま湯(32〜37℃)を使用する

    • ・洗浄料を手のひらで十分に泡立てる

    • ・1回あたり60秒以内で優しくなじませる

    • ・すすぎはしっかりと(残留物がバリア障害を引き起こす)

    • ・タオルで押さえるように水分を拭く(こすらない)

      • Ananthapadmanabhan KP, et al.Dermatitis, 2004

 

  • *洗浄回数は朝・夜の1日2回が基本
  • *過剰な洗顔(3回以上)は皮膚常在菌のバランスを乱し、炎症性疾患のリスクを高めます

 

 

2. 保湿 — 皮膚バリア機能を維持・修復する

 

  • なぜ保湿が必要か

    • 角層の水分量が低下すると、経表皮水分蒸散量(TEWL)が増加し、外来抗原の侵入が容易になります

    • 保湿剤はセラミド・NMF(天然保湿因子)を補完し、バリアを回復させます

      • Elias PM.Journal of Investigative Dermatology, 2012

 

  • 保湿成分の種類と役割

    • ヒューメクタント(グリセリン、ヒアルロン酸)— 水分を引き寄せる
    • エモリエント(スクワラン、セラミド)— 皮膚を柔らかくする
    • オクルーシブ(ワセリン、ジメチコン)— 水分蒸発を防ぐ
      • Kraft JN, Lynde CW.Skin Therapy Letter, 2005

      •  

*洗顔後3分以内に保湿剤を塗布することで、TEWL増加を最小限に抑えられます

*乾燥環境(相対湿度40%以下)では保湿頻度を増やすことが推奨されます

 

 

3. 日焼け防止 — 皮膚への光障害を予防する

 

  • 紫外線による皮膚への影響

    • UVB(280〜315nm)はDNA直接損傷・日焼けを引き起こし、UVA(315〜400nm)は真皮コラーゲンを破壊し光老化を促進します

    • 累積曝露は皮膚がんリスクと直接相関します

  • Narayanan DL, et al.Indian Journal of Dermatology, 2010

 

 

  • 日焼け止めの使い方
    • SPF30以上・PA+++以上を使用する
    • 顔への適量:約1/4〜1/2ティースプーン(約0.5〜1.0g)
    • 外出15〜30分前に塗布する
    • 2〜3時間ごとに塗り直す(汗・擦れで効果が低下)
    • 曇りの日も必要(UVAは雲を透過する)
  • Lim HW, et al.Journal of the American Academy of Dermatology, 2017

 

 

  • *日焼け止めのSPF値は実験室条件での測定値です
  • *実際の使用では適量より少なく塗布されることが多いため、表示のSPF効果の20〜50%程度しか得られないことがあります
    • Schalka S, et al., 2011
  • *指定された使用方法を守ることが重要です